3 月もたくさん観ました。
9 ほーん。
3 月のトップ 2
三人姉妹
- 作 : アントン・チェーホフ(訳:神西清)、演出 : 三浦基、出演 : 安部聡子、石田大、伊東沙保 、小河原康二、岸本昌也、窪田史恵、河野早紀、小林洋平、田中祐気
- 日時 : 2015/3/9(月)19:00~@KAAT 中スタジオ
京都に 7 年半住んでいたのだけど、地点は初めて観た。
それから三人姉妹も。
しかし、すごかった。
三人姉妹はすれ違いの芝居だと何かで読んだことがあって、すれ違いというのは個人的にかなり重要なモチーフなので楽しみにしてもいたのだけれど、まさかそれを、こんなかたちで見せるなんて。
冒頭、登場人物たちが獣のように四つん這いで、ぐちゃぐちゃと絡み合いながら登場するのにも、みな不思議なリズムで口々に「アァッ」と叫んでは崩折れるばかりで一向に台詞が始まらないことにも息を飲んだし、終始なんだか断片的な台詞ばかりで筋がきちんと語られないな、と思っていて、帰り道に持参した文庫を開いて読んだら終始筋の通った戯曲で、要するに舞台とは全然違っていて思わず「全然ちゃうやんけ!!」と心の中でツッコミを入れたし、でもそういうことのすべてが実はどうでもよくて、ただ、舞台の上で真実が語られているように見えたことがすばらしかった。
どうしてそう見えたのかは今でも全然わからないんだけど、とにかくそう見えたのだから、すごくよかった、と評する。
一つ強く印象に残っているシーンを上げるなら、姉妹が壁に張り付いて、三者三様に必死に何かを訴えようとしたとき、ショスタコーヴィチの曲が大音量になって、観客(にも登場人物たちにも)何も聞こえなかった場面で*1、それだけだと一見インスタントで安っぽい表現にも見えてしまいかねないと思うのだけど、どうしてその場面がよかったかといえば、やっぱりそれ以外の場面でも終始一貫して戯曲「三人姉妹」で私たちの生活、私たちの人生について語られていることを誠実に語っていたからなんじゃないかと思う。そして、どうしてああいうかたちで語ることができるのかは、全然わからない。
全然わからないし、どうしてああいうかたちで語ることができると演出家が信じることができるのかも、どうしてそれを信じて役者が稽古できるのかも、全然わからなかったけれど、先月末から芝居を始めてみたら、役者の気持ちはちょっとだけわかるような気もしている。(そして、演出家の気持ちはまだ全然わからない)
地点の芝居はぜひまた観たい。
京都に行けば観られるのだろうけど。関東にもまた来てほしい。
十二夜
喜劇を観よう、と思い立って出かけた十二夜。
まず、とても面白かった。
観終わったあとに、前置きなしで「面白かった! 観てよかった!」と思えたのは、これが初めてかもしれない。*2
役者の発声がいい。
一番舞台から遠い(そして一番安い)B 席で観ていたのだけれど、何を言っているのかよくわからない、聞こえない、という場面がまったくなかった。これって基本だけど、すごいことだと思う。(というのは、そうじゃない舞台をいくつも観たことがあるからそう思うのだけど)
台詞もいい。
というのは、文言のことじゃなくて、台詞がきちんと人間の言葉として語られているということ。
先月観たハムレットではちょくちょく台詞を読むように聞こえてしまう場面があったのだけれど、400 年も前の戯曲なので、努力しても、どうしてもそうなってしまう場面があるものなのだと思う。
でも、この日の十二夜にはそれもなかった。あとでそのことに気づいて、びっくりしてしまった。
戯曲がいい。
というのは、まあシェイクスピアなので、おさえるとこしっかりおさえてて面白い。ただ、帰ってから戯曲を読んでみると思いのほか舞台だけでバッチリ全部伝わってたことに気づいて(いつもは「そういうことだったのか~」というのが何箇所かあるものなのだけど)、やはり芝居がよかった、というところに帰ってくる。
といった次第で、変な言い方ですが、プロとはこういうものか……と感心してしまいました。
特にフェステ(道化)役の成河さんがオリヴィアを茶化す、美声で唄う、軽やかに跳ね回ると、八面六臂の活躍でした。
もちろん、他の役者も、演出もすばらしかった。
ヴァイオラ/セバスチャン一人二役の音月桂も好演ながら、最後のヴァイオラ(シザーリオ)が二人!? の場面にはビビってしまいました。あれ、同じ人だと思ってたけどまさか……? 的な。笑
美術も音楽もよかったし。夢のような時間でした。
3 月に見た芝居
詩人の家
- 座・高円寺 - 「詩人の家」の詳細情報
- 作・演出 : 阿藤智恵、出演 : 林次樹、明樹由佳、沢田冬樹、三浦千枝
- 日時 : 2015/3/4(水)19:00~@座・高円寺 1
ミミズクとめとろもぐら
- ミミズクとめとろもぐら | 立教大学演劇研究会 [演劇公演紹介] 演劇・ミュージカル等のクチコミ&チケット予約★CoRich舞台芸術!
- 作・演出 : ☆、出演 : 木根優大、植松満里奈、乙幡進悟、目黒祥子、松下晋也、鈴木花穂
- 日時 :2015/3/8(日)14:00~@立教大学 池袋キャンパス・ウィリアムズホール
三人姉妹
- KAAT×地点 共同制作作品第5弾 『三人姉妹』|KAAT 神奈川芸術劇場
- 作 : アントン・チェーホフ(訳:神西清)、演出 : 三浦基、出演 : 安部聡子、石田大、伊東沙保 、小河原康二、岸本昌也、窪田史恵、河野早紀、小林洋平、田中祐気
- 日時 : 2015/3/9(月)19:00~@KAAT 中スタジオ
地点の三人姉妹、すばらしかった。まだドキドキしている。
— enk (@enk_enk) 2015, 3月 9
どうしてあれが届くのだろう、どうしてあれが届くとわかるのだろう、どうしてあれが届くことを信じて稽古できるのだろう、が今日の三大謎。
— enk (@enk_enk) 2015, 3月 9
三人姉妹、読み始めて早々全然違うじゃねーか!!ってツッコミ入れてしまったけどこっちが原作だし、たぶん中身は全然違ってない。はず。(勘だけど……)
— enk (@enk_enk) 2015, 3月 9
三人姉妹は好きな戯曲だ。地点の三人姉妹は想像以上にバッサバッサいってたことが読んで改めてわかったけど、それでもコアのところはぴったり重なっている。
— enk (@enk_enk) 2015, 3月 13
かといって戯画的にデフォルメされて届いたのでもなく、正しく100パーセントのストレートで届いたという印象なので、やっぱり見事だった。
— enk (@enk_enk) 2015, 3月 13
愛の漸近線(1 回め)
- 愛の漸近線 | mizhen [演劇公演紹介] 演劇・ミュージカル等のクチコミ&チケット予約★CoRich舞台芸術!
- 作・演出 : 藤原佳奈、出演 : 佐藤幸子、佐藤蕗子、白井珠希、中田麦平、橋本拓也
- 日時 : 2015/3/11(水)19:30~@小金井アートスポットシャトー 2F
やっぱり、人間(他人)と人間(自分)とが心から求めているのにわかりあえない、ということが根っこの、根っこの根っこのところにある気がする。だから、言葉や、会話や、非言語によるあらゆるコミュニケーションに抗いがたい興味、渇望とまではあえて言わないけれど興味、を覚えるのだと思う。
— enk (@enk_enk) 2015, 3月 11
だから、愛の漸近線には漸近なんて認めねえ、交わってくれ何がなんでも、という思いがついつい先に立ってしまう。
— enk (@enk_enk) 2015, 3月 11
のだと思う。
— enk (@enk_enk) 2015, 3月 11
愛の漸近線(2 回め)
- 愛の漸近線 | mizhen [演劇公演紹介] 演劇・ミュージカル等のクチコミ&チケット予約★CoRich舞台芸術!
- 作・演出 : 藤原佳奈、出演 : 佐藤幸子、佐藤蕗子、白井珠希、中田麦平、橋本拓也
- 日時 : 2015/3/14(土)14:00~@小金井アートスポットシャトー 2F
愛の漸近線読んだ。ミニマルなセットで(回想も含む)シーンの切り替えはすごくうまくいってたんだけど、「直さん、待ってー」のとこの一瞬の切り替わりだけ読んでようやくわかった。あそこだけもやっとしてたのよね。めっちゃ切ないシーンやん!
— enk (@enk_enk) 2015, 3月 18
2回観たからかもしれないけど余韻がじわじわと消え残っていて、いい芝居だったのだと思う。
— enk (@enk_enk) 2015, 3月 18
薮原検校
- こまつ座&世田谷パブリックシアター 『藪原検校(やぶはらけんぎょう)』 | 世田谷パブリックシアター/シアタートラム
- 作 : 井上ひさし、演出 : 栗山民也、出演 : 野村萬斎、中越典子、山西惇、大鷹明良、酒向芳、春海四方、明星真由美、家塚敦子、山﨑薫、辻萬長、千葉伸彦(ギター奏者)
- 日時 : 2015/3/18(水)13:30~@世田谷パブリックシアター
藪原検校すごくよかった。笑いを基調にした芝居で心の奥の方を触られたと感じたのは、初めてかもしれない。
— enk (@enk_enk) 2015, 3月 18
悪い冗談
- アマヤドリ「悪い冗談」 東京芸術劇場
- 作・演出 : 広田淳一、出演 : 笠井里美、松下仁、渡邉圭介、小角まや、榊菜津美、糸山和則、沼田星麻、中野智恵梨、中村早香 ほか
- 日時 : 2015/3/21(土)14:00~@東京芸術劇場 シアターイースト
漂泊
- オフィスコットーネプロデュース 『漂泊』 | 吉祥寺シアター
- 作 : 蓬莱竜太、演出 : 田村孝裕、出演 : 市毛良枝、若松武史、小林勝也、清水直子、三津谷 亮、谷川昭一朗
- 日時 : 2015/3/28(土)18:00~@吉祥寺シアター
漂泊僕は笑って見れない派でした。でも、おおむね予想の範囲内で、惜しかった。
— enk (@enk_enk) 2015, 3月 28
蓬莱さんは人のイヤなものをずるずると引きずり出すのが得意技なのだな。
— enk (@enk_enk) 2015, 3月 28
十二夜
- 日生劇場『十二夜』
- 作 : ウィリアム・シェイクスピア(訳:松岡和子)、演出 : ジョン・ケアード、出演 : 音月桂、小西遼生、中嶋朋子、橋本さとし ほか
- 日時 : 2015/3/29(日)12:00~@日生劇場
十二夜すごく面白かった!
— enk (@enk_enk) 2015, 3月 29
一番必要なのは鍛錬だなあ、たぶん。他にも必要なものは色々あるのだろうけど、まだわからない。
— enk (@enk_enk) 2015, 3月 29
それにしても客の女性率が凄まじかった。少なくとも9割は超えてたと思う。まったく男女問わず楽しめると思うので、不思議だ。
— enk (@enk_enk) 2015, 3月 29
十二夜読んでみたけど思いのほか取りこぼしが見当たらなくて、見事な舞台だったという認識を強めました。戯曲はもちろんすばらしいんだけど、これを見事に立体に立ち上げていたなというか。特にフェステがすばらしかった。
— enk (@enk_enk) 2015, 3月 29