第 3 回はてな題詠「短歌の目」5 月「窓という窓を開いて叫ぶなら」
序
2015 年 5 月の短歌の目は、ズザザッと滑り込みます。*1
題詠
1. うぐいす
名にし負はばいざ言問はむこの春の花はいつ咲く庭のうぐいす
2. 窓
窓という窓を開いて叫ぶなら明日は真夏日 絶対にそう
3. 並ぶ
「一列に並ぶときれい」そう言って全部潰して君は微笑む
4. 水
真夏日や 駆け寄りてガフ水を食み駆け去ってゆく犬の鼻づら
5. 海
永遠にわかりあえない生きものよ 白い夕陽を照り返す海
6. かめ
「わかめって黒いから好き」そう言ってふえるわかめを口に押し込む
7. 発情
「十月に熊が発情するからさ。僕が五月に生まれたのはね」
8. こい
「こいよ」って言ってあいつはぼくのこといないみたいにきみをさらった
9. 茜さす
茜さす五月十日よさよならだ五月十日よ 焼け落ちてゆく
10. 虹
彼ググる「虹の見える角度とは」 とはってなんだテクニックかよ
結
セーフ!!*2
まじめな話、短歌をたくさん詠む(&読む)貴重な機会なのでなにはともあれ間に合ってよかったです。
なんだかモヤモヤする場合などは前回の短歌の目もどうぞ。
短歌って、短歌って。
来月こそはたっぷりと期間を取って取り組みます……。
2015 年 4 月短歌「薔薇の蕾が意思を持つなら」
4 月はよい月でした。
- 人間には興味がなくてせわしない犬のことだけ見つめていたね
って言われたい。
- 雨だから渋谷を歩く いま仮に薔薇の蕾が意思を持つなら
渋谷を歩くといつも雨なので渋谷を歩くと雨なのか雨だから渋谷を歩くのかわからなくなります。
- 川端で川端会議を催せる五月の午後の鳩のひとたち
ハトってかわいいと思うんですが、怖いと思う人も多いみたいですね。
- 曇天のイエルサレムを踏みしめて桜嵐が奇跡のようだ
奇跡のようだったのですが、奇跡のようだと言っても奇跡のように見えないのが問題です。
ダイエーもやってる、のですが今月は出遅れています。
うたとしばいとソフトウェア、三つを三つとも全力でやるのはやっぱりどうにも難しくて、ちょっと考えたほうがいいのかも……と思い始めています。
3 月短歌
うたとしばいとソフトウェアの一柱がこちらになります。
- 大入を背負いし猫の棚に居り四方いずれか判然とせず
ねこがいたんです。棚に。
- あっ冬が始まる(ストーブ出さなきゃ)と思ったけれどいま何月だ
3 月でした。
- ふうわりと花愛づるひと五分咲きのウクレレを弾く西池袋
ピースフルだったのでピースフルさを出そうと思ってつくりました。
- 地獄よりダークスーツで出で来たる君 深き声にて「ツユダクで」
すげえいい声だったのですよ。
ダイエーもやってます。
enk.hatenablog.com enk.hatenablog.com
当面はうたとしばいとソフトウェアの三本立てでやっていきます。
今ならやれるはず。
第 2 回はてな題詠「短歌の目」
序
2015 年の 4 月は、短歌の目から始まります。
題詠
1.入
ねえきみは入道雲がこの街を食べ尽くすとこ想像できる?
2. 粉
粉モンに目がない彼は粉モンがあれば地獄の底も漁った
3. 新学期
新学期薫れる風の吹くみちをゆくヒヨコらの吹くリコーダー
4. フール
天使踏むを怖れるを踏む道化とて遠く哀歌を唄う日もある
5. 摘
胸部から摘出されたたましいをそっと舐めれば水飴の味
6. 異
ははそはの母は異なれるを憎み夫をも憎み愛すは子のみ
7. 花祭り
見上げれば白く眩しい花祭り ただ生きているだけでこんなに
8. あらたまの
あらたまの春は来たれどあらたまの何が新たか 春は遥けし
9. 届け
せめてこのこころの露のけむりさえ届けばいいと息をひそめる
10. ひとつ
恋ってねひとつのものを分かち合うことなんだったらよかったのにな
結
前回、公開が 3 番めだったので、なんか意地になってしまって即詠エクササイズの様相を呈しました。
でもこれはこれでなかなかたのしい。
しかし(たぶん題詠に参加された方々の多くと同じく)「あらたまの」にビビりました……。
教養が足りない。さしあたって『万葉秀歌』を読まねば。
というわけで、短歌の目 4 月でした。
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また、もしご興味を持っていただけたら、前回のエントリもぜひご覧ください。