この国では犬が

本と芝居とソフトウェア

2020 年前半のふりかえり

ふと思い立ったので、2020 年前半をふりかえってみる。

やったこと

42 冊

読書メーターの記録によると、2020 年前半に読んだ本は 42 冊。
もともと 2020 年は読書数の上限を 50 冊までにするという目標を立てていたのだけれど、達成できそうにない。(超えてしまいそう)

6 月に会社の制度を利用して一週間の休暇を取ったとき、一気に 8 冊読んでしまうなど、消化が激しかった。
本の誘惑には抗いがたい。

新製品開発

この半年は新製品の開発に関わっていた。
事業開発・デザイナーのメンバーと組んで、高い技術力を持った開発チームの中で、既存のマイクロサービス群も活用しながら、とはいえほぼ一から Web サービスを組み上げる仕事。

システムシンキング

昨年はデザインシンキング、ロジカルシンキング、そしてアートシンキングと、さまざまな思考のあり方に触れる年だった。
そして今年になって、システムシンキングに出会った。

まず読んだのが、ドネラ・メドウズの『世界はシステムで動く』。

そして今、ピーター・センゲの『学習する組織』を読んでいる。

リモートワーク

対面でのコミュニケーションと常時ペアプログラミングを旨としている弊チーム も、この社会状況下なので現在は 100% リモートで仕事をしている。

とはいえ、基本的な仕事の仕方は変えていない。テキストではなく音声(とビデオ)によるコミュニケーション、常時(リモート)ペアプログラミング
前述の新製品も、そうやって開発した。案外、できるものだ。

リモートワークにあたって投資は惜しまなかった。
マイク付きイヤフォン、大きな 4K モニタ、ラップトップ用スタンド、高品質なオフィスチェア、高品質なネット回線。

Apple EarPods with 3.5 mm Headphone Plug

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  • メディア: エレクトロニクス

これは、正解だったと思う。
ちなみに、オフィスチェアはオフィスバスターズで送料含め 35000 円ほどで購入した。(それ以外は新品)

ソーシャルディスタンスと演劇

演劇をやっているのだけれど、従来の舞台における演劇は(残念ながら)三密の条件を満たしてしまっている。
劇場(稽古場を含む)は閉鎖され、ここ数ヶ月ずっとリモートでの稽古のやり方を模索してきた。

今月になって条件付き(人数制限・定期的な換気)で稽古場は開いたものの、行政の方針(所属しているのが府中市の市民劇団なので)もあって、今年の本公演は既にキャンセルが決まっている。
とはいえ、劇団員たちは頼もしく、リモートで、あるいは三密を慎重に避けながらどうすれば活動や制作ができるか、考え、試している。

わかったこと

スペースを開けることはできている

目標の年間 50 冊(以下)に対して半年で 42 冊も読んでしまったのは困った事態ではあるが、例年の年間 100 冊ペースに比べると、多少ペースを落とすことには成功している。
その分何をやっているかというと、Web 上の技術リソースに本格的に取り組んだり、気軽に読めそうな本はなるべく控えて、歯ごたえのありそうな本に取り組んでいる。
理想には届かないまでも、少しずつ行動の変化が起きている。

自分をラーニングゾーンに置き続けられている

今回の新製品開発は、技術的にも、事業内容的にも、ワクワクする内容で、半年間のほとんどの時間、自分をコンフォートゾーンでもパニックゾーンでもなく、ラーニングゾーンに置き続けることができたと思う。
製品と、チームとともに自分も成長して、製品・チームに還元していく、ほとんど理想的な状態だったんじゃないか。(もちろん、すべてが快適というわけでも理想通りというわけでもなかったけれど、ふりかえって俯瞰してみるとそう感じられるということ)

今、システム思考

『学習する組織』は最初に入った会社で事業所(支社)の方針として掲げられていて、興味は持ったものの、あまり深入りすることはなかった。(システム思考とは何か、といったことを理解するまでには至らなかった)
なので、『学習する組織』とは 10 年越しの出会いということになる。

とはいえ、不思議と「あの時読んでおけば……」といった感覚はない。今出会うべくして出会った、という感じがしている。

昨年末のふりかえりでこんなことを書いた。

全体として、大きなもの、根源的なもののことを考えていきたい。
(中略)
動きながら、大きなものを捉えられないか。
さまざまなものごとの根本にある、理のようなものに、少しでも近づけないか。

システム思考こそが答えだ、と言うつもりはないけれど、少なくとも一つのヒントであることには違いない。

システム思考では、システムの全体を捉えて、レバレッジの大きな介入ポイントを探す。
この「システムの全体」、あるいは「レバレッジの大きな介入ポイント」は、昨年末に書いていた「さまざまなものごとの根本にある、理のようなもの」に何らか通じる部分があるように感じている。

リモートワークに向いている

数カ月間リモートワークをしてみて、どうやら自分はリモートワークに向いているようだ、ということがわかってきた。

あくまで自己評価だが、

  • サボることなく、しっかりアウトプットを出す(出そうとする)。
  • 過剰に働きすぎることなく、休むときは休んでメリハリをつける。
  • オンサイトで働いていたときよりも、少し厚め(冗長気味)に情報共有をして、コンテキストが落ちにくくする。

といったことが自然にできている(と思う)。

もっとも、開発はペアでやっているので、最初の 2 つについては個人の能力ではないのかもしれない。

一番大きな発見だったのがむしろメンタル面というか、生活面というかのところ。

チームの中には、リモートワークになってから物足りない、寂しい、といった感覚を持って、ストレスを感じている人が結構いるようだった。
僕の場合、もちろんその人たちの感覚を否定するものではないけれど、個人的には、そう感じたことがない。

こう書いてみて、まったくないというのもちょっと極端というか、人としてどこかおかしいのではないか、という不安もよぎるが、実際にそうなのだから仕方ない。

つまり、リモートワークになったことでストレスを感じたり、パフォーマンスが大きく落ちたり、ということが今のところ特にない。(肩こりなどの問題は一時的に生じたが、設備投資で解消した。リモートペアプロにはストレスを感じることがあるが、リモートワークに起因するというよりは、リモートペアプロの「やり方」に起因するストレスだと思う)

これはある意味恵まれているということで、だからこそ、リモートワークでストレスを感じている人たちへの思いやりを忘れないようにしたい、とも思う。

演劇もやってやれないことはない

現在、従来の形での演劇はとても難しい。
それでも、いろいろなやり方を模索して、少しずつ慣れてきたり、道筋が見えてきたりしつつある。

もちろん感染拡大の防止が最優先事項ではあるので、そこに反しないやり方で、演劇を続けられたらと思う。

次にやること

全体として、ここ半年の厳しい社会状況の中で、なんとかうまくやっていくことができている。
その理由は色々あるにせよ、一番大きいのは「運がよかった」ことだとしか言いようがないようにも思う。

システム思考を学んで、もっと個人(自分や、その周り)ではなく、社会や世界というシステム全体のことを優先的に考えたほうがいいのではないか? という思考が芽生えつつあるのを感じている。
だが、まだ社会貢献活動に自分の多くの時間を使おう、といった風には思えていない。なぜなのかは、わかるような、わからないような。

なんというか、そうなるときには自然にそうなるという気はしている。
それまでは、恵まれたものを、せめて無駄にしないようにしっかり活用していきたい。

読書数上限については、目標修正。
50 冊は間もなく超えてしまい、その後一切本を読まないというわけにもいかないので、今年の上限を 80 冊とする。
これはとりあえずの目標(「50 冊」はそういう感覚だった)ではなく、必達と考える。そのために定期的に冊数を確認し、超えそうなペースなら具体的な対策を取る。

開発した新製品には今後も関わるので、そこでしっかり成果を出す。
技術面から、セールスと顧客の成功に最大限貢献する。そのために何ができるか、視野を広く持って考え、実行し続ける。

演劇も続ける。ただし、これは安全第一で。