決して本ばかり読んでいるわけじゃない、ないはずなのですが。
9 月は 17 冊。
新しい Kindle Paperwhite が結構いいという話を聞いて、部屋のそこかしこに無造作に積まれた本を見るにつけ、ずっと嫌ってきたけどいよいよ電子書籍デビューかしら……などぼんやり考えるこの頃です。
9 月のよかった本
緊張をとる
- 作者: 伊藤丈恭,村田善子,出口藍
- 出版社/メーカー: 芸術新聞社
- 発売日: 2015/07/30
- メディア: 単行本
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タイトルといい表紙といい脱力系ですが、名著と言って差し支えないと思います。
全編会話で進むのですが、まず読んでいて面白い。40 歳で(自称)美人で(自称)大女優のママがめっちゃかわいい。
内容も、「二段階で考える(いきなり結果を見ず、過程と結果に分けて考える)」とか、「躊躇を取る(やり過ぎて調整)」とか、目からウロコぼろぼろいく。
で、終盤それまでママが偉そうに言ってたことをある事情で自ら実践するシーンがあるんですけど、これがもうめちゃくちゃよくて、「この人でもやるんだ……!」と思って、なんかもう泣けます。
緊張しやすいとか緊張をとりたいといった人に限らず、(もちろん芝居をはじめとして)人前で何かをすること全般、うまくできずに悩んでいる人は、ぜひ読んでみてほしい本です。
コンテンツの秘密―ぼくがジブリで考えたこと
コンテンツの秘密―ぼくがジブリで考えたこと (NHK出版新書 458)
- 作者: 川上量生
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2015/04/10
- メディア: 新書
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川上さんがジブリでのプロデューサー見習いの経験を通してまさに「考えたこと」を書いた本。
学術的な根拠とかがあるわけではないのですが、日々一流のコンテンツを作っている人たち(スタジオジブリの人たち)の話が随所に引用されることで、なかなかの説得力があります。
この本の中で言われる「コンテンツは人間の脳にとって気持ちいい情報が多ければ多いほどよい」という主張は、まさに僕自身も15年くらい前からずっと考えていて、明確には言語化できずにいたことです。
たとえば、小学生だった僕にとって、スーパーファミコンのドット絵で描かれた夕焼けがなぜ現実の夕焼けよりも美しかったのか、ということが、川上さんの言葉である程度説明されます。
そういうことを考えたことのある人には、一度読んでみてほしい本です。
「人間の脳にとって」という言葉が鍵だったのだ、ということが、この本と、それから先月読んだ『唯脳論』のおかげでわかりました。(ちなみに、『唯脳論』はこの本の参考文献にもあがっていました)
know
- 作者: 野崎まど,シライシユウコ
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2013/07/24
- メディア: 文庫
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【know (ハヤカワ文庫JA)/野崎 まど】もしもすべてを知ってしまったら死ぬしかないだろうな、と思っていたけれど、今生のうちにすべてを知ることはないだろうなということがわかって、なんだか安心しまし... →http://t.co/5B62g2F4YK #bookmeter
— enk (@enk_enk) 2015, 9月 21
安心しまし...た。
という小説でした。
新しいものごとを知ることや考えごとが好きな人には、面白い小説だと思います。
文体や SF としての設定も軽めで、さらっと読めるのも美点と言ってよいでしょう。(有川浩とかと一緒で、半分ライトノベルみたいなものです。ちなみに文体や人物の雰囲気はちょっと森博嗣に似ています)
あと、2081 年の話なのですが、普通に進々堂とか出てきて、京都に住んだことのある人ならちょっと笑えると思います。
読書メーター
2015年9月の読書メーター
読んだ本の数:17冊
読んだページ数:4657ページ
ナイス数:15ナイス
緊張をとるの感想
緊張をとる一大叙事詩です
読了日:9月1日 著者:伊藤丈恭
死んでしまう系のぼくらにの感想
そうでした。
読了日:9月3日 著者:最果タヒ
木挽町月光夜咄 (ちくま文庫)
読了日:9月6日 著者:吉田篤弘
養老孟司の大言論I 希望とは自分が変わること (新潮文庫)の感想
このひとはズバズバ言うので、こっちの頭の中にもズバズバ切り込まれてきて、痛快です。
読了日:9月10日 著者:養老孟司
腑抜けども、悲しみの愛を見せろ (講談社文庫)の感想
バーゲンセールみたいな展開だな、と思っていたけれど、読み終わってみると不思議とどんより重い。
読了日:9月11日 著者:本谷有希子
君に目があり見開かれ
読了日:9月11日 著者:佐藤文香
働く男 (文春文庫)の感想
働くか〜という感じがします
読了日:9月15日 著者:星野源
すべての犬は天国へ行く
読了日:9月16日 著者:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
養老孟司の大言論II 嫌いなことから、人は学ぶ (新潮文庫)
読了日:9月19日 著者:養老孟司
コンテンツの秘密―ぼくがジブリで考えたこと (NHK出版新書 458)
読了日:9月20日 著者:川上量生
ボールのようなことば。 (ほぼ日文庫)の感想
糸井重里というひとは、信用できる感じがします。
読了日:9月20日 著者:糸井重里
名セリフ! (ちくま文庫)の感想
中に「唐十郎とか野田秀樹とかが描く世界がわからない」といった告白(?)があり、うなりました。
読了日:9月20日 著者:鴻上尚史
know (ハヤカワ文庫JA)の感想
もしもすべてを知ってしまったら死ぬしかないだろうな、と思っていたけれど、今生のうちにすべてを知ることはないだろうなということがわかって、なんだか安心しました。
読了日:9月21日 著者:野崎まど
よだかの片想い (集英社文庫 し 60-1)の感想
人は人と出会うことで変わる、ということを思い出します。
読了日:9月24日 著者:島本理生
養老孟司の大言論III 大切なことは言葉にならない (新潮文庫)
読了日:9月26日 著者:養老孟司
話し言葉の日本語 (新潮文庫)の感想
日本語の話かなと思っていたら思いのほか戯曲の話の分量が多かった。(劇作家が二人揃っているわけだし、よく見れば「せりふの時代」の連載だしで、当然といえば当然か……)個人的にはとても面白く読めました。
読了日:9月28日 著者:平田オリザ,井上ひさし
わたしの外国語学習法 (ちくま学芸文庫)の感想
方法もさることながら、なにより外国語を学習することのよろこびに満ち溢れた素敵な本です。
読了日:9月30日 著者:ロンブカトー
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