この国では犬が

本と芝居とソフトウェア

2015 年の目標

2015 年になったので、2015 年の目標を立てる。

サマリ

2015 年の目標は、この3つ。

  • 美しいものにたくさん触れる
  • ものごとを見通す力をつける
  • 「データ連携」と「手触りのよいソフトウェア」に投資する

美しいものにたくさん触れる

美しいものにはっきりとひかれるようになったのはそれほど昔のことではなくて、たぶん中学から高校にかけての頃だったと思う。
以来、時には真剣に、時にはなんとなく、美しいものと関わり続けてきた。

このへんで一度、気合を入れて関わってみようと思う。
具体的には、美しいもの、自分が美しいと思うもの、美しいと思えそうなものにたくさん触れるようにする。

もちろん、ただ日常生活を送っているだけでも、世界は美しいもので溢れかえっている。でも、今年はそれに甘んじず、言ってみれば筋トレのようなつもりで、たくさんの美しいものに触れてみたいと思う。

より具体的には、音楽、美術、詩、小説、映画、舞台芸術、等々のいわゆる芸術作品(エンターテインメント作品も含む)に積極的に、たくさん触れるようにする。
もちろん美しいものは芸術作品だけではないけれど、ひとまず今年のテーマとして。

なお、「エンターテインメント作品も含む」としたのは、

  • エンターテインメント作品とされるものの中にも(もちろん)たくさんの美しさがあるということ
  • より多くの人に届く「美しいもの」は、(エンターテインメント性の低い)芸術作品というよりは、むしろエンターテインメント作品だろうということ
  • 自身の美しいものへの興味がエンターテインメント作品(テレビゲーム)に端を発していること

あたりによる。

まあそもそも、芸術とエンターテインメントがどこで分かれるのか、あまりよくわかっていなかったりもするのだけれど、たとえば仮に純文学が芸術、ライトノベルがエンターテインメントだとして、ライトノベルも対象に含める、ということ。

あわせて、美しいというのはどういうことか、についても少しずつ考えていけたらと思う。
たぶん一生のテーマになるはずだから、少しずつ。

ものごとを見通す力をつける

これはたぶん小学校にも上がらない幼い頃から今までずっと、人と人とのコミュニケーションについて悩み、苦しみ、考えながら生きてきた。

それが一昨年、ある友人の言葉のおかげで、自身と他者とのコミュニケーションについては、ずいぶん(それまでと比べたら、飛躍的といってもいいほど)悩まずにすむようになった。これには、どんなに感謝しても感謝しきれない。
おかげで、昨年は(色々と事件やたいへんなことがあっても)総じて健やかに一年を過ごすことができた。

でも、それは僕が僕個人として生きやすくなったというだけのことでもある。
世の中にあるコミュニケーションの問題は、もちろんそのままのかたちでそこにあるし、僕個人の問題も軽くなったとはいえ、なくなったわけではない。

コミュニケーションの問題は、見通しが悪いことが大きな原因の一つだと思う。
つまり、ある人には、他の人の見ているものや考えていることがわからないため(時にはわかろうともしないため)、コミュニケーションはうまくいかない。

友人のおかげで、コミュニケーションの問題は解決できるし、少なくとも改善できる、ということがわかった。
今年は、それをもっと掘り下げたいと思う。

自身が他者を理解するため、また他者に理解されるための手段として、ものごとを見通す力をつける。
あるいはもしかしたら、他者が他者を理解するための手段を知るための手段として。

基本戦術としては、これは実のところ昨年もやっていたことなのだけれど、本を読むことになると思う。
本を読むことによって、

  • 知識が増える(自分以外の人間のものの見方、考え方、持っている背景がわかる)
  • 考える力が増す(自分以外の人間の発言を深く、正しく理解できる)

といったことを企図する。
取り組みとしては、昨年うまく行ったことを今年も続ける、という面が大きい。

最初の「美しいもの」もそうだったけれど、これもおそらく一生のテーマで、とてもこれから一年で完結するような目標ではない。
また先ほど言った通り、これまでにも何となくは取り組んできた。

でも、今年はこのことに特に意識的に取り組みたい、という意味で、「ものごとを見通す力をつける」ということを第二の目標とする。

「データ連携」と「手触りのよいソフトウェア」に投資する

現在の職場で働き始めてから、一年あまりが過ぎた。
職場にはすっかり慣れたし、製品やコードへの理解も結構深まってきて、事業に貢献できていると思う。

ただ、昨年のふりかえりでも少し書いたように、ソフトウェアエンジニアとしてのキャリアについては、ちょっと迷っているというか、方向性を定め兼ねている部分がある。

これは遠くない将来(おそらく一年か二年後)に一度は決めるべきことだと思うし、今すぐに決められるならそれに越したことはない、ことだとも思う。

一方で、自分の現在位置がどうかというと、「どのような方向に進むにせよ、無駄にはならないであろう基礎体力」にあたる部分がまだたっぷりと十分ついているとはいえないのではないか、と考えている。

また、僕が所属するアプレッソは「データ連携」を行う、「手触りのよい」ソフトウェアの開発を一つの重要な目標としながら堅調な業績を上げていて、この目標には僕個人としてもかなり同調し、強くコミットしたいという思いがある。

これらを考えあわせた結果、この一年は基礎体力の充実に加えて、特に「データ連携」と「手触りのよいソフトウェア」に投資する、という目標がよいのではないか、と思い至った。

具体的なアクションとしては、(なんだかこればかりだけれど)やはり本を読んでそれを実践する、ということが中心になると思う。
ただし、特に以下のような観点を持って本を選び、また読む。

  • 基礎体力
    アルゴリズム、設計やテストなどのソフトウェアエンジニアリング全般、計画やマネジメントといったソフトウェア開発に必須のスキルを改めて磨く。特定の先端技術を追うというよりは、あくまで基礎にあたる部分をより充実させる。

  • データ連携
    これは「基礎体力」とも重なる部分があるが、文字コード技術やネットワーク、セキュリティ等、今まさに主業務として取り組んでいるエンタープライズ向けのデータ連携において、必須・重要となる技術を優先的に身に付けていく。

  • 手触りのよいソフトウェア
    手触りのよいソフトウェアを作るためには、UI/UX についての知識と技術が必要だ。だが、実はもう一つ重要なのが、UI/UX に使うための時間を確保することだと思う。「基礎体力」で挙げたようなソフトウェア開発の基礎を適切に実践することで、UI/UX のための時間を作り、その時間を投入することで手触りのよいソフトウェアが実現できる、という流れを目指す。

こういった、どちらかといえば広く浅い学習の過程で、より深くコミットしたい領域を見つけることができれば、と思っている。

今回上げた観点の中で一番具体的というか specific なのは「手触りのよいソフトウェア」、つまり UI/UX まわりということになりそうだ。
「手触りのよくないソフトウェアは(機能が優れていても)世界をトータルで駄目にする」ということをざっくり 15 年くらい前から思っていて、これは言わば、僕とソフトウェアとの関わりにおいて一番古い(また、おそらく一番重要な)テーマだ。

でも、いわゆるフロントエンドエンジニアとか、UX デザイナといった職種を目指すのか、と考えると、何か違うような、という気がしてしまう。それを裏付けるように、その具体的な取り組みは「UI/UX 関連技術への投資」というよりは、「UI/UX のための時間の確保」となっている。

この齟齬が何なのか、これはこれで、重要なテーマでもありそうだ。
このことも含めて、「データ連携」と「手触りのよいソフトウェア」への投資をしながら、ソフトウェア開発にどのように関わっていきたいのか、考えていく。

まとめ

今年の目標はどれも粒度が大きくて、定量的には結果が測りにくいものになった。

でも、そのぶんどれも本当にやりたいことには間違いないし、今年一年で進めるだけ進めればいいと思っていて、きっと大きく進めるだろう、とも思う。

また、やはりどれを取っても、一見、収穫というよりは、種まきの要素が大きい。

でも、どれもその取り組みそのものが自分にとっての実りとなるような目標なので、結局、とても実りの多い一年になりそうな予感がしている。

よい一年になりますように。