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この国では犬が

本と芝居とソフトウェア

一年分の余暇をたっぷりつぎ込めば「できます」と言えるレベルになる

独自研究チラシの裏)です

なにこれ

僕のこれまでの経験から帰納的に考えると、「一年分の余暇」を「ある活動」に「たっぷり」つぎ込めば、その活動を「できます」というレベルになれる、と言えそうです。

帰省から帰る新幹線の中であまりにも暇だったのでちょいちょいと計算してみた結果、僕がこれまでの短くない人生で達成してきたいくつかのことのそれぞれが「たった一年」でいけるらしい、ということがわかって意外だったので、まとめてみます。

長くなったので先にまとめ

すべて僕の個人的なことなので、人によって違いはあると思います。

※あくまで独自研究です

一年分の余暇をたっぷりつぎ込む

まず、掲題の「一年分の余暇をたっぷりつぎ込む」とはどういうことか、簡単に説明します。

一年分の余暇

平日は平均して 21 時から 24 時の 3 時間、休日は 10 時から 22 時(うち、お昼休みに 1 時間)の 11 時間を余暇として考えます。

一年のうち、平日は 3 分の 2 くらい(240 日)、休日が 3 分の 1 くらい(120 日)でしょう。

すると、一年分の余暇は、

3 時間 × 240 日 + 11 時間 × 120 日 = 720 + 1320 = 2000 時間強

となります。

これが一年間に利用可能な余暇のすべて、つまり「一年分の余暇」です。

たっぷりつぎ込む

実際には、すべての時間を一つの活動に集中して取り組むことは不可能だと思います。

一応、家事などにかかる時間は除いたつもりの数字ですが、外せない用事や体調不良などで、やむをえず多くの時間を消費してしまうこともあるでしょう。

とはいえ、強い意思と習慣の力をフル活用してがんばれば、半分 ~ 七、八割くらいまでならいけそうな感じがします。
これが「たっぷり」です。

「一年分の余暇」を「たっぷり」つぎ込むことで、およそ 1000 時間(かなりがんばった場合) ~ 1500 時間(めちゃくちゃがんばった場合)が確保できることになります。

1000~1500 時間で何ができるか

さて、ここからは、この 1000~1500 時間で何が達成できるか、ということが問題になります。

そこそこの年月を生きてきたので、僕の個人的な経験においてどういうことができてきたのかふりかえれば、ある程度推測できそうです。

弓道

高校の3年間、弓道部にいました。

弓を持つのも初めてで、当然、最初の頃は矢が的に当たりません。
というより、まず弓が引けません。(引かせてももらえません)

うろ覚えですが、初めて的前に立つまでに数ヶ月かかったはずです。(そして、当然、中りませんでした)

3 年生の 8 月に引退するまで、平日 2 時間、休日 3 時間くらいのペースで、ずっと練習しました。 そして、二段を取ったのが(たしか……)2 年生の 12 月。

二段というのは、高校生としては上出来です。*1
弓道できます」と言っても、まあいいかなといえる実力です。

それまでの練習期間が、1 年生の 4 月~ 2 年生の 11 月として、20 ヶ月。
例によって平日 2/3、休日 1/3 として、

2 時間 × 20 日 × 20 ヶ月 + 3 時間 × 10 日 × 20 ヶ月 = 800 + 600 = 1400 時間

一年分の、上限に近い数値になりました。

作曲

僕は、中学の終わり頃からゲームコンポーザになりたくて*2、ちょいちょい DTM で作曲をしていました。

最近は所属する劇団でちょっぴり音響活動を始めたり始めなかったりしていたりもするのですが、まともに曲作った最後は 2011 年の春。
今はリハビリ中です。

わかりやすく、大学に入った 2006 年から、卒業した 2011 年という期間で考えてみます。*3

2006 年春の曲がこちら。

http://download.sound.jp/enick_ymw/s/sus4.mp3

一応、弓道業のかたわら細々とアマチュアの作曲業を営んではいたので、最低限整ってはいますね。

そんで、2011 年春の曲がこちら。

note.mu

もともと、こういう曲が作りたかったんです。
音楽の評価は人それぞれだと思いますが、複雑度とか迫力が増している感じは伝わるかな~と思います。

これができて、ようやく僕は「作曲できます」と言えるようになった気がします。*4

というわけで、問題は作曲業に何時間投入したのか? です。
これは算出が難しいのですが……。

いくつかの角度から推測した結果、まあ 1000 ~ 1800 時間くらいかな、という結論になります。
いや~これが少ないんですね。仕事にしたいなら、もっとやれよっていう。

あくまで概算ですが、大きく外してはいないと思います。
以下、一応計算式。

仮に毎日コンスタントに 1 時間作曲業にはげんでいたとして、延々 5 年間。*5
365 * 5 = 約 1800 時間

あるいは、大学生活の間に発表*6した曲がだいたい 30 曲くらいあるのですが、一曲仕上げるのに 平均 30 時間かかっていたものとして*7、さらにボツ曲が同じくらいあると考えて、こちらは平均 5 時間くらいとして。
30 * 30 + 30 * 5 = 1000 時間強

こんな感じで、500 時間とか、3000 時間とかいうことはまあなさそうだな、という感覚が得られます。*8
上の方の 1800 という数字だと、「たっぷり」の上限である 1500 時間をやや超えていますが、所詮は概算なのでお目こぼしください。

プログラミング

ざくざくいきましょう。

大学を卒業し、夢破れて*9、俗に言う PG/SE の職につきます。

未経験に等しかった一社目入社時からの 1000~1500 時間が取れればベストなのですが、達成したことのデータが乏しい(僕の記憶しかない)ので、(定性データながら)ブログからデータを取りやすい、今の会社での時間で見てみます。

対象は、Java でいきましょう。

学び始めた日は、はっきりと記録されています。

enk.hatenablog.com

これが、入社のおよそ約 3 ヶ月前。
"「リフレクション」というJavaの機能" などというかわいい記述が見られます。

入社前は結局あまり時間が取れず、読み始めた『プログラミング言語 Java』を読み終えたのは入社から 2 ヶ月近くが経った 12 月でした。
これに費やした時間が、ざっくり 10 分 × 650 ページで 6500 分 = 100 時間強くらいでしょうか。

12 月からは、本格的に Java を使った業務に入ります。
業務知識を学ぶ時間や会議等の時間、インフラ周りを触ったり C++ を触ったりといった時間もありましたが、基本的に開発言語は Java なので、(個人的な勉強の時間も含めて)一日 4 時間くらいは Java 業をしていた、と考えてよさそうです。

土日もまあ、どちらかで 4 時間くらいは何なりと勉強してた気がします。
とすると、一週間で 4 * 6 日 = 24 時間、一ヶ月で 24 * 4 週 = 96 時間。

こちらも丸めて 100 時間とすると、1000 時間時点は 9 ヶ月後となり、2014 年 9 月です。
そして、奇しくもこの月に #渋谷java で LT をしています。

enk.hatenablog.com

実は、このときのスレッドダンプの記事がいまだにこのブログのアクセス数の半分近くを稼いでいたりします。

enk.hatenablog.com

Java できます」というとこの界隈では色々と問題発言になりかねませんが、まあそういう文化の問題を置いておけば、とりあえずは「できます」といってもいいレベルになったのがこの頃かな、と思います。

演劇

最後に、去年……じゃないもう一昨年なのですが、2015 年の 4 月に始めた演劇の話。

こちらは、まだ達成らしい達成はありません。
アマチュアの俳優をやっているのですが、まあ何というか、まだまだです。

とはいえ、2 回(ちょっとした発表機会的なものも入れると 3 回)舞台に立ちました。

劇団の力もあり、来場していただいた方々にはそれぞれに楽しんでいただけたようです。
2 年続けて来てくれた友人も何人かいて、本当にありがたい。

今年の公演です。

www.youtube.com ▲はじめから

www.youtube.com ▲登場シーン、いきなり長台詞っていう

さて、ここまでに投入した時間はというと、ざっくり延べ 500 時間くらいだと思います。

劇団の稽古が基本は週 1 で、一日あたり実質 2 時間程度。
9 月から 11 月は週 2 のペースで、昼から夜やるので一日あたり実質 7 時間程度。

2015 年 4 月から 2016 年 11 月までなので、これだけで、2 * 4 週 * 14 ヶ月 + 7 * 2 日 * 4 週 * 6 ヶ月 = 112 + 336 = 約 450 時間。

これに加えて、自主練をしたり、ワークショップに参加したり、してはいましたが、はっきり言って、全然大した量じゃないです。
ので、仮に 50 時間と見積もって、計 500 時間くらいになります。

本当に本当にまだまだなのですが、とはいえ、500 時間やってこれか、とは思いません。

500 時間やれば、これです。
そしてあと 500 時間やれば、きっと、「演劇できます」……と言えるかどうかはちょっと自信ありませんが、「演劇やってます」と胸を張って言えるだろうと思います。

まとめと補足

新幹線で暇だったから始めてみた考察でしたが、思ったよりもそれらしくまとまって、ちょっとびっくりしています。

各項目のピックアップとしてのまとめは記事の最初に置いたので、そちらで。
結論は、

  • 「一年分の余暇」を「たっぷり」つぎ込んだ(→ 1000 ~ 1500 時間程度を投入した)結果、「できます」と言えるレベルになった経験がいくつもある
    • だから、そういうものなのだと思う
    • 「できます」と言うのがちょっとあれだとしても、少なくとも「やってます」なら胸張って言える

です。

この話の中で一番難しいのは、実際のところ、一年の余暇のうち 1000 ~ 1500 時間もを一つの活動に投入することだと思います。
逆にいえば、本当に 1000 ~ 1500 時間投入できれば、これくらいのことができるようになるだろう、という予測は割と妥当なのでは、と思います。

そして、もちろん、プログラミングの例に見られるように、仕事にしてしまえば 1000 時間なんて一瞬ですね。
いや一瞬ではないですが、まあ普通にやって 1 年はかかりません。

最後に、いくつかこまごまとした補足をしておきます。

1000 ~ 1500 時間の間に何度も「!!」を経験する

この話の中には一つインチキがあると思っていて、というのも、実際に「その活動」をやっている時間以外にも、実は頭は働いています。
ある活動に没頭している時期というのは、だいたいそのことだけを考えています。

音楽をやっていた頃は、曲のことばかり考えていました。
そして、歩いていても、自転車に乗っていても、バイトをしていても、シャワーを浴びていても、あらゆるときに曲想を思いつくことがありました。(だから、常にボイスレコーダーを携帯していました)

現在の本業はソフトウェアエンジニアですが、やはり生活の時間の多くを費やす活動なので、そのことを考えている時間も長くなります。
最近は主に人の問題に興味が向いているので、人のことについて「!! そういうことか!!」となることが、日常生活のなかで頻繁に起こります。

演劇についても、去年はなかったのですが、今年は公演の稽古をしている期間中、日常生活の中で何度も「!! あれはそういうことか!!」と気づくことがありました。
もちろん、脚本を読んでいるときや、動きを試してみているときにもそれは起こります。何度も何度も起きて、その都度「これだ!! 掴んだ!」と思ったのですが、終わってみると、全然掴みきれていませんでした。

これらの「!!」は、何度も何度も繰り返し起こります。
逆に言うと、何度も何度も起こって、それでようやくいくらか進んでいた、ということになります。

一度や二度の「!!」は、そのときに感じるほどには大きな一歩ではない、というのが長年の実感で、だから、「!!」が何度も起きるくらい長いこと没頭し続ける必要があるのだと思います。
1000 ~ 1500 時間を 1 年間に凝縮したときに果たしてこれができるか、というのが未知数です。濃度が上がる分、さらに「!!」が起きやすくなる、という可能性も考えられるとは思います。

「意図的な練習」かどうかで時間の質は大きく変わる(と思われる)

時間のことに絞って話をしてきましたが、もちろん質は重要です。

近年 "deliberate practice"(意図的な練習)という概念が注目されているようです。

https://www.google.co.jp/#q=deliberate+practice

あえて深入りせずに極めてざっくり言うと、質の高い練習、ということです。
それを心理学の手法で調査・分析して定義したものです。

僕は『究極の鍛錬』という本でこの用語を知り、以前ブログにも感想を書きました。

enk.hatenablog.com

費やす時間がこの「意図的な練習」になっているかどうかで、成果は大きく違ってくるものと思います。
逆に言うと、僕が今までにうまくやれた分野というのは、(図らずも)この「意図的な練習」にあてはまるような部分があったのかも、とも思います。(未検証ですが)

生存バイアス / 確証バイアスがあるかも

この記事が科学的な記事だと思っている人は誰もいないとは思いますが、念のため。

あくまで独自研究チラシの裏)です。

生存バイアスがかかっていると思います。

たとえば、僕は小学生の頃剣道を、中学生の頃バスケットボールをやっていましたが、目立った成果は上げられなかったこともあり、取り上げていません。(かけた時間をよく覚えていないというのもありますが……)

確証バイアスもあると思います。

記事を書くなかで、自分が書いたこと(たとえば、「一年の余暇は最大 2000 時間、実質使えるのは 1000 ~ 1500 時間」)に釣られて、無意識のうちに実績の時間を調整しているかもしれません。「一日あたりの時間」とか、記憶に頼っていますし、かなりざっくりなので、どうとでもできると言えば、できます。もちろん、そうしないように気をつけたつもりではありますが……。
剣道やバスケットボールを取り上げなかったこともそうです。*10

この辺の話は、今読んでいる『ファスト&スロー』に詳しく出ています。

文章はやや固い(しかも上下巻! しんどい!)ですが、その分(?)第一人者による一次情報なので、読む価値はあると思います。

おあとがよろしいようで

こういうブログを書いている間にも、刻一刻と余暇の時間は失われていきます。

*1:ひとつ上の三段を高校生で取るのはかなり難しく、県内の同学年にはたぶん一人もいなかったと思います。二段はちょいちょいいます

*2:といっても、「なんとしても絶対になるぞ!」というほどはっきりした意志でもなく、ぼんやりしていたら、結局なれなかったのですが

*3:差し引き 5 年になるのは秘密。

*4:と、作曲を始めてからの通算だと 2000 時間以上いってしまいかねない気がしますが、とりあえず置いといて……

*5:実際にはそんなにまじめじゃなかったと思います。ただ、平均するとそれくらいかも、という気もします

*6:録音して CD にしたもの、およびバンド等の形態で演奏したもの

*7:ミキシングまでやるともっとかかることもありますし、バンド用のラフならもっと短いのですが、まあざっくり平均

*8:ほんと、3000 時間くらいは使えよ、と言いたい

*9:雇ってくれた最初の会社に感謝していますし、結果としてこの仕事でよかったと割と本気で思っています。念のため

*10:こちらは、気づいてここで取り上げましたが、最初は忘れていました