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この国では犬が

本と芝居とソフトウェア

2015 年 11 月~ 12 月に読んだ本(Soft Skills、究極の鍛錬、融けるデザイン ほか)

11 月から英語の本を読み始めたらガクンとペースが落ちてしまいました……。
ので、2 ヶ月まとめてお届けします。

終わってみれば、クリティカルヒットがバシバシ出て、すばらしい読書生活でした。

11 月~ 12 月のよかった本

Soft Skills

Soft Skills: The Software Developer's Life Manual

Soft Skills: The Software Developer's Life Manual

これはたいへんな本でした。
詳細は以下の記事にて。

enk.hatenablog.com

究極の鍛錬

究極の鍛錬

究極の鍛錬

かつてゲーム音楽を作る人になりたいと思って、自分なりに才能みたいなものと格闘してきました。

当時考えていたのは、「とにかくプロになりたい」ということで、なぜなら、プロになれば、生きることのリソースの大部分をそれに注ぐことができて、長期間にわたって能力を開発し続けることができて、やがてよりよいものを生み出せるようになると考えたから。
でも、努力が足りなくて、プロにはなれませんでした。

この本を読むと、その考えや当時していたことの一部が当たっていて、一部が間違っていたということがわかります。

才能は過大評価されている

この本の原題は「Talent is overrated」で、「才能は過大評価されている」という意味です。

「才能」という言葉を聞いて人が思い浮かべるものは案外様々だと思いますが、この本で「Talent」とされているものは、割と限定的で、「(遺伝的な理由などで)生まれつきその身体に備えている能力」のことです。
そして、今の世の中ではそれが過大評価されている。

明らかに生まれ持った才能が溢れ出しているみたいに見える人でも、実は「生まれつきその身体に備えている能力」よりはむしろ、その生まれ育った環境、そしてその環境が可能にした「究極の鍛錬」がその能力をかたちづくっている、ということを著者は明らかにします。

究極の鍛錬の 5 要素

著者は「究極の鍛錬」が備える 5 つの要素を説明します。それは、以下の 5 つです。

  • 実績向上のために特別に考案されていること
  • 何度も繰り返すことができること
  • 結果へのフィードバックが継続的にあること
  • 精神的にはとてもつらいこと
  • あまりおもしろくないこと

これだけだとなんのことかわからないかもしれません。

でも、この本の論理を丁寧に追うと、能力を得るために

  • 長時間の努力が必要であること(若くして成功する人は幼少期から鍛錬を始めている)
  • ただ時間をかければよいわけでもなく、よく工夫されたものである必要があること(年をとれば誰でも能力が身につくわけじゃない)
  • その努力ははっきり言って苦痛であること(だから誰にでもできるわけじゃない)

そして、

  • 世の中で素晴らしい能力を発揮している人は誰でもこの「究極の鍛錬」を経ていること

がよくわかります。

この本の主張に照らすと、僕が当時思っていたことで当たっていたのは「(かけた時間が成果につながるから)とにかくプロになるべし」ということ、間違っていたのは「自分にはそれほどの才能がなさそうだ」と思って(あるいは、矛盾するようですが、「才能があればいずれにせよ芽が出るはずだ」と思って)、どこかプロになるための努力を中途半端にしてしまったこと、です。

才能について悩んだことのある人、また今悩んでいる人はぜひ一度読んでみるべき本だと思います。

融けるデザイン

融けるデザイン ―ハード×ソフト×ネット時代の新たな設計論

融けるデザイン ―ハード×ソフト×ネット時代の新たな設計論

融けるというのはどういうことだろう、「透明なインタフェース」や、直前に読んだ『さよなら、インタフェース』で主張されていた「NoUI」のようなことだろうか、と考えながら読み始めました。

結果として、そのどちらにも似ているようで少し違った、しかし僕の考え方、ものの見方の深いところを触って、変えてくれるようなスゴい本でした。

情報の身体化

本の中では、著者自身が行った実験の成果を踏まえながら、色々な考え方を紹介していくのですが、中でも「情報の身体化」という考え方には衝撃を受けました。

短い言葉で説明することは難しいのですが、あえて言うなら、「よい UI は、インタフェースそのものをデータ側に移動させるようなものである」ということだと思います。

たぶん全然うまく説明できていないと思いますが……。
身体と対象物(情報)の二元論で捉えるのではなくて、両方をひとまとめでとらえる(情報の身体化)という考え方ができるということに震えました。
それもただ机上で考えただけのことではなくて、実践をともなっているので、理解もしやすく、また想像力もかきたてられます。

人間の生活をよくするものを生み出すために

小難しい概念をこねくり回す本かといえば、決してそんなことはなかったと思います。

繰り返すようですが、具体的な実験やプロダクトを例にあげながら、基本的には身近なところで議論が展開されます。

僕がソフトウェア業をしているのは、(お金を稼ぐためということを除けば)人間の生活をよりよくすることに大きく貢献できる(可能性がある)と信じているからなのですが、同じような理由でソフトウェア業をしている人は(あるいは、ハードウェア業をしている人も、産業によらず何かをつくる人は誰でも……)、ぜひとも読んでほしい本です。

この本には、世界から人間の生活を悪くするプロダクトやサービスを減らして、よくするプロダクトやサービスを増やす力があると思います。

読書メーター

11 月

2015年11月の読書メーター
読んだ本の数:4冊
読んだページ数:758ページ
ナイス数:12ナイス

考えるヒト (ちくま文庫)考えるヒト (ちくま文庫)
読了日:11月4日 著者:養老孟司
やわらかな言葉と体のレッスンやわらかな言葉と体のレッスン
読了日:11月7日 著者:尹雄大
新エバンジェリスト養成講座新エバンジェリスト養成講座
読了日:11月9日 著者:西脇資哲
True and False: Heresy and Common Sense for the Actor (Vintage)True and False: Heresy and Common Sense for the Actor (Vintage)
読了日:11月12日 著者:DavidMamet

読書メーター

12 月

2015年12月の読書メーター
読んだ本の数:24冊
読んだページ数:6348ページ
ナイス数:16ナイス

方法序説 (岩波文庫)方法序説 (岩波文庫)感想
およそ400年前に真実を探し求め、また伝えようとした人の記録、というか苦闘そのものでした。
読了日:12月5日 著者:デカルト
ミステリヤ・ブッフ (マヤコフスキー叢書)ミステリヤ・ブッフ (マヤコフスキー叢書)
読了日:12月6日 著者:マヤコフスキー
反応しない練習  あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」反応しない練習 あらゆる悩みが消えていくブッダの超・合理的な「考え方」感想
この本に書いてあることは本当です。(体験談)
読了日:12月7日 著者:草薙龍瞬
読書の腕前 (光文社知恵の森文庫)読書の腕前 (光文社知恵の森文庫)
読了日:12月10日 著者:岡崎武志
エンジニアとして世界の最前線で働く選択肢 ~渡米・面接・転職・キャリアアップ・レイオフ対策までの実践ガイドエンジニアとして世界の最前線で働く選択肢 ~渡米・面接・転職・キャリアアップ・レイオフ対策までの実践ガイド
読了日:12月10日 著者:竜盛博
Soft Skills: The Software Developer's Life ManualSoft Skills: The Software Developer's Life Manual感想
プログラマ向けの自己啓発書です。情熱プログラマーあたりにも通じるものがありますが、より実践寄りというか、ページ数が多いだけあって、読者を説得するところから具体的な実行手順を示すところまで親切にきっちりカバーされている印象でした。また、お金の扱い方のことや健康のことにもそれぞれ章が割かれているなど、技術と直接関係のない領域まで幅広くカバーしているのも特徴的で、まさにlife manualという感じです。
読了日:12月12日 著者:JohnZ.Sonmez
ハイデガー哲学入門──『存在と時間』を読む (講談社現代新書)ハイデガー哲学入門──『存在と時間』を読む (講談社現代新書)感想
とりあえず原著がめちゃくちゃ難解だということがわかった。日本語で読んで理解するのは多分不可能で、解説書を駆使しまくるか、ドイツ語をマスターするか、その両方か、一生読まないかも……。でも、その難しい本でやろうとしたことや、いちいち難しい用語の意図するところは(それなりに)掴めた気がします。根気強く丁寧な入門書だったと思います。
読了日:12月13日 著者:仲正昌樹
僕たちはガンダムのジムである (日経ビジネス人文庫)僕たちはガンダムのジムである (日経ビジネス人文庫)
読了日:12月15日 著者:常見陽平
SNOOPY COMIC SELECTION 70's (角川文庫)SNOOPY COMIC SELECTION 70's (角川文庫)
読了日:12月15日 著者:チャールズ・M・シュルツ
モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか (講談社+α文庫)モチベーション3.0 持続する「やる気!」をいかに引き出すか (講談社+α文庫)感想
アメとムチが前世紀の遺物であり、私たちがふつう期待するようには機能しないことを痛快なまでに喝破する本です。マジかーという感じです。では、どうすれば? ということまでしっかり書いてあるので、すごく便利です。
読了日:12月17日 著者:ダニエル・ピンク
書を捨てよ、町へ出よう (角川文庫)書を捨てよ、町へ出よう (角川文庫)
読了日:12月18日 著者:寺山修司
sisterssisters
読了日:12月19日 著者:長塚圭史
究極の鍛錬究極の鍛錬感想
かれこれ15年くらい、才能や人間の能力についてあれこれ考えては、そう信じたり、あるいは謎に思ったりしていたことごと、それらの点と点のすべてを美しくつないでくれた、僕にとって記念碑的な本でした。そういうことだったんだ、と深く腑に落ちました。わからないことについては「まだわからない」とはっきり記しているところも、誠実で、好感が持てます。
読了日:12月21日 著者:ジョフ・コルヴァン
リモートチームでうまくいく マネジメントの〝常識〟を変える新しいワークスタイルリモートチームでうまくいく マネジメントの〝常識〟を変える新しいワークスタイル感想
「在宅勤務」「リモートワーク」ではなく「リモートチーム」という考え方、そしてその実践のあり方を紹介する面白い本です。
読了日:12月21日 著者:倉貫義人
チームのことだけ、考えた。―――サイボウズはどのようにして「100人100通り」の働き方ができる会社になったかチームのことだけ、考えた。―――サイボウズはどのようにして「100人100通り」の働き方ができる会社になったか
読了日:12月23日 著者:青野慶久
ケラリーノ・サンドロヴィッチ 消失/神様とその他の変種 (ハヤカワ演劇文庫)ケラリーノ・サンドロヴィッチ 消失/神様とその他の変種 (ハヤカワ演劇文庫)
読了日:12月25日 著者:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
ウェブ×ソーシャル×アメリカ <全球時代>の構想力 (講談社現代新書)ウェブ×ソーシャル×アメリカ <全球時代>の構想力 (講談社現代新書)
読了日:12月25日 著者:池田純一
さよなら、インタフェース -脱「画面」の思考法さよなら、インタフェース -脱「画面」の思考法感想
その通り、重要なのはインターフェースじゃない。とわかっているつもりでも、やっぱりふだん、知らず知らずのうちにインターフェースを軸に考えてしまっていることに気づかされました。デザイナも開発者も、みんな一度は読んでみてほしい本です。
読了日:12月26日 著者:ゴールデン・クリシュナ
融けるデザイン ―ハード×ソフト×ネット時代の新たな設計論融けるデザイン ―ハード×ソフト×ネット時代の新たな設計論感想
情報の身体化! 今まで自分なりにUIだとかUXだとかのことを考え続けてきたつもりでしたが、強烈なパラダイムシフトを引き起こしてくれるすごい本でした。すべてのデザイナ、エンジニアに読んでほしい。そうすればきっと、世界を悪くするプロダクトが減って、よいものが増えると思います。
読了日:12月27日 著者:渡邊恵太
改訂2版 基礎からわかる Go言語改訂2版 基礎からわかる Go言語感想
Goのことをサクッと学べる良書です。特にC/C++をやったことのある人なら「そういうことね」という感じであっという間に読めて、普通にGoが書けるようになると思います。
読了日:12月27日 著者:古川昇
世につまらない本はない (朝日文庫)世につまらない本はない (朝日文庫)
読了日:12月28日 著者:養老孟司
君は永遠にそいつらより若い (ちくま文庫)君は永遠にそいつらより若い (ちくま文庫)
読了日:12月28日 著者:津村記久子
作家の収支 (幻冬舎新書)作家の収支 (幻冬舎新書)
読了日:12月28日 著者:森博嗣
なぜヤギは、車好きなのか? 公立鳥取環境大学のヤギの動物行動学 (朝日文庫)なぜヤギは、車好きなのか? 公立鳥取環境大学のヤギの動物行動学 (朝日文庫)
読了日:12月29日 著者:小林朋道

読書メーター

量から質へ、さらっと読める本から歯ごたえのある本へ、またインプットからアウトプットへ、徐々に移行していきたいな〜と思っているので、この読書記録のつけ方も今後ちょっと変えるかもしれません。