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この国では犬が

本と芝居とソフトウェア

ポモドーロと Trello によるタスク管理(3 of 3 : Trello 編)

この記事は、「ポモドーロと Trello によるタスク管理(2 of 3 : ポモドーロ編)」の続きです。

ずいぶんあいだが開いてしまったが、Trello 編である。
前々回に書いた通り、Trello は WEB アプリケーションとして提供されている「コラボレーションツール」だ。
僕の場合、それを一人用の「タスク管理ツール」として使用している。(あえて言うなら、近い過去・未来の自分とコラボレーションしていると言えなくもない)

Trello の運用

というわけで、タスク管理ツールとしての Trello の運用について淡々と書く。
なお、先に一つだけ大事な結論を述べておくと、Trello をタスク管理ツールとして使用する試みは、今のところかなりうまくいっているように思う。ポモドーロとのコンビネーションも良好である。

ボード構成

Trello には、ボード、リスト、カードという関心事の単位がある。ボードは複数作ることができ、ボードにはリストを複数含めることができる。リストにはカードを複数含めることができる。

現在、僕は 4 つのボードを運用している。
以下にその 4 つについて簡単に説明するが、ポモドーロとの組み合わせのとこだけ気になる方は読み飛ばして次の「お仕事の詳細」から読んでいただいても差し支えない。

青いボード

最初に作ったボードだ。もともと仕事のタスク管理に使おうというつもりではなかったので、主に日常生活の Todo リストとして使おうと思って作った。
背景が青かったので、青いボードと名づけた。
今回のテーマであるポモドーロと組み合わせてのタスク管理にはあまり関係がないので、詳細は省略する。

お仕事

2 番めに作ったボードだ。はじめは「やはり青いボード」という名称だったが、思いのほか区別しづらかったので改名した。
Trello はボードの背景色を変更することができる。ので、背景色を変更し、晴れて「青いボード」の汚名をすすぐに至ったわけだ。*1
さらに 毎月 5 ドル払って「Trello Gold」にアップグレードすれば背景画像も設定できるようになるのだが、5 ドルの恩恵が背景画像とステッカーの追加、あと添付ファイルの容量アップくらいのもの *2 で、今のところ踏ん切りが付かない。

閑話休題
この記事のメインなので、詳細はたっぷり後述する。

KPT

3 番めに作ったボードだ。
KPT というカイゼンフレームワークがある。KPT そのものについてはググればアホほど情報が出てくるので、詳細はググられたい。(そればっかだ)
ごくざっくりとだけ説明しておくと、ふりかえりを行って、よかったこと、続けたいことを「Keep」、問題点を「Problem」、問題点への対処や試してみたいことを「Try」としながら、継続的に PDCA サイクルを回していくための分類法みたいなものだ。頭文字を取って「KPT」というわけである。なお、昨年、なかなか親切に解説されているよい本が出ていたので、紹介しておく。

転職してから今までのところ、毎週末に一週間のふりかえりを行っている。ふりかえった結果から Keep, Problem を抽出し、適当に処理して Try をひねり出す。*3 ということを、「KPT」ボードに並べた「Keep & Good *4」「Problem」「Try」という 3 つのリストの上で行っている。

新しいトピックには一枚のカードを作ればよいし、そのトピックの経過はカードへのコメントとして残すことができる。「Try」を首尾よく実践し、いい感じだったらカードを「Keep & Good」に移すといったことも簡単だ。
たった今気づいたのだれけど、これ、一人で行うふりかえりではなくてチームで行うふりかえりのときにより絶大なパワーを発揮しそうな気がする。同じボードを参照しているとき、あるユーザの操作は即時に他のユーザの画面にも反映されるので、遠隔地でもホワイトボード以上の快適さで KPT を利用したふりかえりミーティングを行うことができる!まあ、それは本記事の主題からずれるので、またの機会に。

学習

つい最近作ったボードで、まだあまり活用できていない。
もともと「○○できるようになるために、××を読む」みたいなタスクを、思いついたときにカードとして作成していた。
これだと、職場で思いつくか、職場以外で思いつくかによって、「仕事」にカードがあったり、「青いボード」にカードがあったりして、なにかと不便だった。 学習は重要で、かつ業務でもないし日常のタスクともちょっと違ったサイクルで回っていくものなので、思い切ってボードを別にした。

活用できていないのは主に学習のペースがあまり速くないからであって、別にしたことじたいはよかったと思っている。「仕事」と「青いボード」がすっきりしたし、学習が進んでいないことも(進んだときは、進んだことも)一目瞭然になったからだ。

お仕事の詳細

ようやっとお仕事の話ができる。

お仕事の内容

いまどんな仕事をこれで回しているかということをごく簡単にリストアップしておく。
なお前提として、Java で企業向けのパッケージソフトを開発している。

  • サポートセンター部門からのコード調査依頼への対応
  • バグ修正
  • 機能追加・改善
  • ミーティング
  • その他、業務上生じるすべてのタスク(メールチェック、書類提出、連絡、計画、課題の起票、勉強会等々)

といった具合だ。 *5

リストの運用

「お仕事」ボードには、以下のようなリストを作って並べている。(リストの左から順)

  • Working
  • Today
  • Done
  • This Week
  • Todo
  • Routine
  • Not Todo

名前からだいたいわかるとは思うが、一週間の仕事の流れはおおむね以下のようになる。

  1. 「Routine」からすべてのカードを「This Week」に移動させる
  2. 「Todo」から、今週やるカードを「This Week」に移動させる。この際、見積もっていないものは見積もる(「見積と実績の記録」にて後述)
  3. 「This Week」の見積りポモドーロ数を調整する(後述)
  4. (以後、日次で繰り返す)「This Week」から、今日やるカードを「Today」に移動させる
  5. 「Today」の見積りポモドーロ数を調整する(後述)
  6. 各ポモドーロを始める前に、「Today」から「Working」にカードを移動させる
  7. 完了したカードは「Done」に移動させる
  8. その日のうちに完了しなかったカードがあれば、「This Week」に移動させる
  9. 一日の終わりには「Done」リストのカードを一括アーカイブする(「Routine」に属するカードは、「Routine」に戻す)
  10. (一日の終わりには、その日のふりかえりも行う)

そうして一週間の終わりには、「This Week」よりも左側のリストがすべて空になっているのが理想だ。

なお、「Not Todo」は、「Todo」に置いていたが、どうやら(すぐには)やる必要がなくなったようだ……というものをしばらく置いておく場所として用意している。
すぐにアーカイブするのはちょっと不安があるが、かといって Todo に置いておいても邪魔だというようなものを避けておくのに、たまに役立っている。
適当なタイミングで見て、これはもうやらないなと確信したら、そのカードをアーカイブする。今のところ、「Not Todo」から他のリストに戻したことはない。

カードの運用

Trello のカードは、ざっくりと「タスク」単位で作っている。
粒度はあえて揃えてはいないが、どんなに大きくても 10 ポモドーロ未満が目安となる。
実際にボード上にあるカードを例に上げると、以下のような感じだ。

  • メールをチェックして処理する
  • Effective Java 輪読会の準備
  • [XXX-12345] テストケースを(まずは 1 件)作成する
  • [XXX-12345] テストケースの追加と可読性の改善を見越して、リファクタリングする
  • [YYY-21543] HogeLib のコードを読み込んで、処理内容を簡単に整理する
  • [YYY-21543] A さんの仮想環境でちょっと遊んでみる

ちなみに [...] の部分は、ITS/BTS 課題の ID であるとか、ITS/BTS の課題由来ではない大きなタスクには適当なコードネームをつけるとかしたものだ。それぞれのタスクがどの目標に紐づくのかを視覚的にも、検索によっても簡単に識別できるようにしている。
GTD 的な使い方というか、思いついたタスクはすぐにカードにしてしまうので、一時的には以下のようなカードが作られることもある。

  • (製品)の新バージョン説明会について!
  • B さんに連絡!

ポモドーロの最中に思いついて・思い出してしまった重要なタスクは、ポモドーロを中断せず、かつポモドーロの間に計画できるように、こうやって簡単なメモとして書き出すようにしている。
こういうのはとりあえず「Today」リストに突っ込んでおけば、次の休憩後にでも忘れずに確認することができる。

見積と実績の記録

Trello には、有志が開発した数々の Chrome エクステンションが提供されている。(たぶん Firefox エクステンションもあると思う)
中でも見積と実績の記録に大役立ちなのが、「Plus for Trello」だ。

このプラグインを導入すると、各カードに見積(E : Estimate)と実績(S : Spent)をそれぞれ簡単に入力・記録することができるようになる。
入力した見積・実績値は、カード単位でも表示されるし、リスト単位でも表示される。個人的にはあまり活用したことがないが、ボード単位でも表示されるようだ。

プラグインとして見積の単位は特に規定されていないので、僕はポモドーロ単位で見積もって、ポモドーロ単位で記録している。つまり、以下のようなワークフローが成立する。

  1. タスクが発生したら、カードを作成する(緊急度に応じて「Todo」「This Week」「Today」「Working」のいずれかに配置する)
  2. タスクをポモドーロ単位で見積り、カードに入力する
  3. そのタスクについて 1 ポモドーロの作業をするたびに、カードに 1 ポモドーロの実績を記録する
  4. 消費ポモドーロ数が見積もった値に達したが、タスクが完了していない場合、見積追加を行う
  5. タスクが完了した場合、「Working」から「Done」に移動する

さらに、「リストの運用」でも触れたように、以下のような作業も週次・日次でそれぞれ行うことができる。

  • 見積を入力したカードを「This Week」や「Today」リストに並べて、計画を立てる(リスト単位の見積ポモドーロ数を参照できる)

この見積りと実績については、ボードの「Report」を参照することで簡単に確認することができる。
一日の終わりに「Report」を確認して、ポモドーロのプロセッシングを行うのが習慣になっている。

Plus for Trello は非常に頻繁にアップデートが行われており、最近は分析機能がかなり充実していっているようだ。
Trello 自体には現状ほぼ全くと言ってよいほど分析機能がなく、何とかしたい部分なので、近いうちに時間を作って、分析機能を色々試してみようと思っている。

スケジュール管理

前述の通り、ポモドーロ単位で見積りを入力することによって、ボード単位での見積りポモドーロ数を簡単に確認することができるようになる。
その数値と一週間・一日単位のこれまでの実績ポモドーロ数を突き合わせることで、簡単スケジューリングの完了となる。

ただし、もちろん「見積追加」および「予定外(で、かつその週・日にポモドーロ単位で割り込んでくる)タスク」の可能性は考慮する必要があるため、きっかり合わせてめでたしめでたしというわけにはいかない。
本来はこれらもデータを収集して過去のデータに基づいて見積るのが正道だが、現状有効なデータを集めることができていないため、感覚でざっくり 30 % くらいはそういうので取られる、ということにして見積っている。

と、ここまで書いて気づいたのだけれど、見積り追加については既に<見積追加>という目印をつけることできっちり記録しているので、あとは予定外タスクを追跡できればきっちりデータ化できる。
今後そうしていく。

お仕事とポモドーロ

このように、Plus for Trello を導入することで、ポモドーロ・テクニックと Trello の「お仕事」ボードとをうまく組み合わせることができている。
言い換えると、ポモドーロ・テクニックと Trello w/ Plus for Trello の組み合わせは相性がよい。

実は Chrome エクステンションを活用するというアイデアは、以下の記事から得ている。

はじめは、この Scrum for Trello というエクステンションを使用しようと思っていた。しかし、よくよく探してみるといわばその改良版のようなものが見つかったので、使ってみるととてもよかった。
そのことが、この記事を書くきっかけになった。*6

もう一つだけ言い残していたことを言っておく。
ポモドーロ・テクニックでは「割り込み」を記録する。この割り込みについても、簡単に記録・分析できる。やり方は以下のような感じだ。

  1. 割り込みが入ったら、作業中のカード(=「Working」にあるカード)のコメントに記録する(内部割り込みは「I:(理由)」、外部割り込みは「E:(理由)」というフォーマットに決めている)
  2. 軽微な割り込みで作業を続行できる場合、続行する。集中が途切れるような割り込みや、緊急の割り込み(直接の会話等)の場合、記録して中断する。(その際は「I!:(理由)」のように記録に「!」をつける)
  3. 一日の終わりにタグを拾い集め、割り込みを分析する

まとめ

そんなわけで、ポモドーロ・テクニックと Trello によるタスク管理は、今のところかなりうまくいっている。
課題もいくつかあるが、毎日・毎週・毎月(さらに予定としては、毎四半期・毎年)のふりかえりを通して着実に改善を進めることができている。

ポモドーロによって、集中する時間を作ることができ、無駄なタスクに多くの時間をつぎ込むことがなくなり、作業にどれくらい集中できているか客観的にトラッキングすることができている。
Trello によって、タスクの漏れや優先順位の誤りをかなり減らし、ふりかえりに使える多くのデータを集積することができている。
これら 2 つのツールは、相互に補完しあっている。

また半年か一年後くらいにその後の経過なり、(願わくば)より洗練されたやり方のまとめなりを書くことができればと思っている。

*1:ちなみに「青くないボード」と呼ばれていた時期もわずかながらあった

*2:もうちょっとあったかもしれないが、個人的に今すぐ恩恵を受けるのはマジで背景画像だけとかだった気がする

*3:一人でやるので、実際には Problem をわざわざ書き起こすことはあまりなく、いきなり Try にしてしまうことの方が多い。なので、実際のところ Problem には、その週のうちには有効そうな Try が出てこなかった「未対処問題」がごく少数並んでいるだけである

*4:「Good」と入れておくと、「【Keep】ってことは【続けたいグッドプラクティス】ってことだよな……」みたいに構えなくても、単になんだかうまくいったことを書き留めておいて次の週眺めてはちょっと心が和むみたいなことが気軽にできるようになるので、よい。まあ、「単にうまくいったこと」を「反復可能なグッドプラクティス」に落としこむのも大事なので、バランスは必要だけれど……

*5:実は今は一時的にちょっと違う仕事をしているけれど、それは置いといて

*6:というだけの本来は記事だったのだが、なんだかやったら長くなってしまって、割と反省している。今後気をつける

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