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この国では犬が

本と芝居とソフトウェア

ポモドーロと Trello によるタスク管理(2 of 3 : ポモドーロ編)

この記事は、「ポモドーロと Trello によるタスク管理(1 of 3 : 導入編)」の続きです。

前回の記事では、ポモドーロと Trello について投げやりな、もとい簡潔な紹介をさせていただいた。

今回から本題に入ろう。昨年の終わり頃に職場が変わって、よりよい働き方を見つけようキャンペーンということで今試しているのが、このポモドーロと Trello を組み合わせたタスク管理だ。

ポモドーロの運用

まずは、ポモドーロについて。

グッドプラクティス

現時点で、グッドプラクティスだと思っているものをいくつか紹介する。

Tomighty を使う

Tomighty は、Windows / Mac 両対応のポモドーロ用タイマーアプリケーション。

見た目がシンプルかつそこそこかっこいいのと、タイマー音が心地よいのとで気に入っている。それから重要なのが、25 分のポモドーロを始めるとき(「Start Pomodoro」ボタンを押すとき)に、ジーッというゼンマイを巻く音がすること。この「始めるときに必ずすること(鳴る音)」の力というのはなかなか馬鹿にできない。「儀式」の力だ。前述のポモドーロの本にもそういった趣旨のことが書いてあったように思う。いくつかのデスクトップアプリケーション / WEBサービス / iPhone アプリを試したが、ゼンマイ音に対応しているタイマーというのはなかなか珍しいので、重宝している。

イヤフォンを使う

Tomighty の音は、イヤフォンを通して聞いている。

前述のとおり、始めるときにゼンマイを巻くことでも音の力を援用しているが、それ以上に重要なのが 25 分間ずっと鳴り続けるチクタク音だ。この音を聞くことによって、目の前の作業に集中することができるし、ちょっとした雑音には惑わされなくなる。(あるいは、周囲の会話に意識的に注意を向けてみたが、結局自分にはあまり関係がないことがわかったときなどにも、瞬時に戻ってこられるようになる)

それから、25 分経ったときには、チーンというベルの音が鳴り響く。これも地味な機能だが重要で、これがないと、残り 5 分くらいになった頃から頻繁にタイマーの方を気にする羽目になってしまう。20 分ほども集中したあとにはだいたい疲れているので、一度タイマーが気になってしまうと、もうほとんど集中できない。かといって再び没頭してしまうと 25 分を大幅にオーバーしてしまってリズムを失いかねないので、そうもいかない。25 分経った時点で音が鳴るようにしていれば、その瞬間まで心置きなく作業に没頭することができる。

実は以前にもポモドーロをやっていたことがあるのだけれど、その時には周囲にはばかって音を鳴らしていなかった。(イヤフォンが許されるような環境でもなかった) そして、ポモドーロ、こんなものか……と思っていた。
ところが、例の本を読み直して、基本にはできるだけ素直に従ってみよう……とばかり音を聞くようにしてみたら、がぜん集中力が増し、これがポモドーロの真価だったのだ!とまで思うようになった。音を出さずにポモドーロをやっている人がいれば、ぜひ一度試してみてほしいと思う。

もちろん、可能であればスピーカーから音を出したり、本物のキッチンタイマーを使用したりするのもよいと思う。ただ、できれば「ゼンマイを巻く音(スタート音)」「チクタク音(カウントダウン音)」「ベルの音(タイムアップ音)」の 3 つが揃ったものを使うのがおすすめということになる。

休憩時間の長さにはあまりこだわらない

ポモドーロ・テクニックでは、「1 ポモドーロ(25 分)ごとに 5 分間の短い休憩」「4 ポモドーロごとに 15 分間の長い休憩」というのが推奨されている。

しかし、しばらくやってみた結果として、今は休憩時間の長さにはあまりこだわらないようにしている。 休憩というのは、3 分ですんでしまうこともあれば、6 分かかってしまうこともある。15 分間の長い休憩だって、取りたくないタイミングで取っても結局あまりよい休憩にならない。

そんなわけで、はじめは 5 分間 / 15 分間を守ろうとしてみていたが、あまり意味がないことに気づいてからは、長さにはこだわっていない。3 分経った時点ですっかりリフレッシュできていれば次のポモドーロを始めてしまうし、5 分経った時点でも肩が凝っていれば、もう少しだけストレッチしたりする。ほとんどタイマーのことは気にせず、「だいたい 5 分くらい」の休憩を取ってから次のポモドーロを始めるようにしている。15 分間の休憩についても、「4 ポモドーロごと」ということにはもはやほとんどこだわっておらず、3 ポモドーロしか消化していなくても「疲れたな!」と思ったら長い休憩を取る。(もちろん、次のポモドーロを消化した時点でまた 15 分休憩したりはしない) こういうことは、(僕の場合は)ポモドーロを適用していないコードレビュー・会議等が入ったときや、立て続けに割り込みが入ってポモドーロが全然消化できなかったとき *1 などにはままある。

ただ、リズムを作るという観点から見たら、これは理想的とはいえないかもしれない。かといって、無理やり休憩時間をルール通りにしたところでリズムができるわけでもないので、それよりはいいと思っている。

なお、休憩中はイヤフォンも外し、Tomighty のチクタク音も聞こえないようにしている。

以上が、現状のグッドプラクティス(と思われるもの)だ。

課題

続いて、現時点では課題となっていることをいくつか挙げておく。

短時間のタスクをどう扱うか

ポモドーロの 1 単位は 25 分だ。*2 これは、原則としてこれ以上分割できないアトミックな単位であり、25 分以内にタスクが完了した場合は、残りの時間を強化学習 *3 にあてるべし、とされている。
ところが、タスクの中には、25 分もかからず、たとえば 5 分で終わってしまうようなものもある。これをどうすべきか?ポモドーロ本は、「そういうタスクは 0 ポモドーロとして見積もって、いくつかをひとまとめにして、1 ポモドーロとして扱えばよい」という。しかし、その時点で着手可能な 0 ポモドーロのタスクが 1 つしかなければ、どうすればよいのか。5 分で仕事をして、残りの 20 分でその仕事のふりかえりをする?さすがにこれはあほらしい。

というわけで、これは本の通りにはうまくやれない部分の一つとして、課題になっている。
とりあえず目下の対応としては、そういうのと、あとコードレビューや会議等の「(簡単には)ポモドーロを適用しづらいタスク」とは、ポモドーロの外で片付けてしまうようにしている。つまり、タイマーを動かさずに仕事をする。これは厳密にはポモドーロのルールに反すると思われるが、「短時間のタスク」はその名の通り、たかだか 5 分程度の簡単・単純なタスクなので、これが原因となって大きくリズムを乱してしまうということもないように思う。

メールチェック・返信をどう扱うか

メール対応は難しい問題だ。
ポモドーロ本では、「メール対応も 1 ポモドーロとして計上しなさい」としている。だが人によっては、メールにほぼリアルタイムの対応を求められるような環境の人もいるかもしれない。こういう人は、最低でも 1 ポモドーロごとに、休憩のあとにでも、メールチェックと対応の時間を取らざるをえないだろう。

僕の場合、幸いにして今の職場でそれほどの即時性を求められることはない。とはいえ、1 日に何度かはチェックしておきたいし、(仮に 3 回チェックするとして)1 回あたりの所要時間は 5 分から、どんなに長くても 10 分程度だ。*4 とすると、それぞれに 1 ポモドーロずつを費やすにはちょっともったいない。というわけで、今は出社時・お昼・夕方・帰宅前の 4 回、適当に時間を取ってメールを処理することにしている。*5

実はこういうやり方を始める前は、それこそポモドーロのルールに反して、ポモドーロとポモドーロの間、つまり休憩中や休憩のあと等に、メール対応を行ってしまっていた。これをやっていると 25 分 + 5 分のリズムがずるずると間延びしてしまうし、何となく、休んだ感じも薄れる気がする(疲れがあまり取れない)。それよりは、タイミングを何度かやんわり決めて、やんわり集中して対応する今のやり方のほうが、まだずっといいと感じている。

「1 ポモドーロが 10 分で完了してしまった」

これはつまり、見積りが下手だったということになる。(過大見積り)*6 このようなとき、前述の「強化学習」が充実しそうなタスクであれば、残りの 15 分を贅沢にもそれにあててしまう(これはルール上は正しい)こともたまにあるが、「次にやるとよさげなタスク」を 本日の Todo リストからウリャッと引っ張りだして、そのポモドーロの残り時間を割り当てるかたちで始めてしまうことも少なくはない。これは本来はルール違反だ。かといって、始めてから 10 分の時点でポモドーロを「完了」にするのも、「破棄」するのも、なんだかどっちも居心地が悪いので、こういうときには仕方ないと思うようにしている。これでリズムや生産性を損なうことは(実感として)案外それほどないと思っているが、ポモドーロの重要な機能の 1 つである「測定」に及ぼす影響は避けられない。まあ、頻度が多くなければさほど大きな問題にもならないと思うが……。

と、ここまで書いたところで、見積りミス(自分の責任)なのだから、「罰」として「破棄する」ルールにしてしまうのもありかな?というアイデアが思い浮かんだ。でも罰というのはいかにも楽しくないアイデアなので、やっぱやらないかな。

「お昼休みまでに 15 分余ってしまった」

これはほぼ必ず起こる。というのも、お昼休みの開始という前後どちらにも動かせない区切りがある以上、1分~24分の「あまり」がほぼ確実に生まれる。
とはいえ、5 分程度の余りなら、前述のメールチェックあたりのタスクをこなすのにちょうどよい。逆に「21分余った」ようなときは、ちょっとお昼休みを食ってでもポモドーロをやってしまうのも、アリかもしれない。

問題は、10~20分程度余ったときだ。といっても、今まで書いてきたように、ポモドーロの厳密な運用にはさほどこだわらなくなってきているので、結局、適当に手持ちのタスクの中からちょっと手をつけておきたいものに手をつけたりなどする。それから前述の「短時間のタスク」を片付けるのにちょうどいい時間だったりもするし、あるいは、読書をしたり、ちょっとした作業のふりかえりや業務改善、情報収集等を行うこともある。*7 実際のところ、これはポモドーロをやっているときに比べると生産的な時間ではないかもしれないが、たかだか 20 分程度だし、別にまるっきり無駄にしているわけでもないので、あまりこだわらないのがよいだろうと思っている。

トマトを高速に食う方法

……といった具合でポモドーロを運用している。
なんだか課題の方が多いみたいになってしまった(というか、実際に多い)が、今のところポモドーロはうまくいっているという感触だ。少しずつ改善もできているというのが大きい。問題は減りつつあり、成果は大きくなりつつある。

1日の消化ポモドーロ数をつけ始めてから約 1 ヶ月で、1 日あたりの平均ポモドーロ数はおよそ「8」だった。
ポモドーロは「集中し続けられた」25 分間だけを数えることや、僕はコードレビューや会議等にはポモドーロを適用していない(それらの時間は、ポモドーロの観点からは 1 日の中に存在しないことになる)ことを考えると、極端に悪い数字ではないと思う。
しかし、週によっては平均「10」を超えた週もあったので、その辺を現実的な目標にはできそうだ。ポモドーロには定期的なふりかえりと改善の仕組みもあるので、それらを活用しつつ、直近の数値目標として、1 日平均 10 ポモドーロを目指す。

もうちっと(でもないけど)だけ続くんじゃ

というわけで次回は、ポモドーロがうまくいっている理由(の一つ)でもあると思われる、Trello によるタスク管理について書きます。
全体のまとめも含めた、完結編になる予定です。

追記(3/16)

続きをポストしました。

おまけ

ポモドーロの実践を続けるあいだに浮かび上がってきた課題を解決するためのポモドーロ・タイマーについて考えてみました。

enk.hatenablog.com

*1:ポモドーロ・テクニックでは、割り込みが入って中断したポモドーロは「破棄」する。「0.5」とかいった数え方はない。その点容赦がない。

*2:正確には、基本の、はじめに推奨される単位が 25 分というだけで、慣れてきたら、短くしたり、長くしたりするのもいいとされている。ただし、一度決めたらしばらくは変えないことが重要で、1 日の間に 20 分と 30 分のポモドーロが混在したりしていてはいけない。これはリズムを作るのと、測定のために必要なことだ。

*3:これは機械学習の文脈における強化学習とはたぶん無関係で、ポモドーロ本には「やったことを見直したり、学んだことを繰り返したり、その仕事を改善できるか考えたり……」と説明されている。

*4:もちろん、それ以上に時間を要する長文・複数件のメール作成等は、ポモドーロとして計画する。

*5:なお、ご明察の通り帰宅前にチェックしてもほとんど意味はないので、これは性格の問題というか、一種の(あまりよくはない)趣味みたいなものだ。

*6:もっとも、ポモドーロは最小単位が 25 分なので、こういうことが起こりやすいというのも事実ではある。

*7:その、つまり、遊んでいると考えてもらっても差し支えない。