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ゲーム音楽作家を目指していた #私を構成する9枚

「私を構成する 9 枚」、なんかはてなブログで話題になっていて、最近めっきり音楽も聴かなくなって一度ふりかえってみるのも面白いかな……と思ったので、書いてみます。

ちょっとはフックがあった方がいいかな、ということで「ゲーム音楽作家を目指していた私」です。
目指していました。なっていないし、今はもう目指してもいませんが……。

私を構成する 9 枚

こうなりました。

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iTunes 見てみたらアルバム 1000 枚くらいあったのですが(いつの間に……)、構成する、構成する、……という観点で絞ると、案外絞れるものですね。
それほど迷いませんでした。最後の 2 枚くらいかな。迷ったのは。

順に軽くコメントしてみます。

CHRONO CROSS OST / 光田康典

僕がゲーム音楽作家を目指すきっかけというか決め手になったのが、どこで聴いたかもう忘れたのですが、CHRONO CROSS のオープニングテーマ「時の傷痕」を聴いたことでした。
メロディも、アンサンブルもものすごくかっこよくて。ゲームのための音楽でこういう表現ができるんだ、と衝撃を受けて。

中三のときだったと思います。
ゲームが好きだったのでゲームを作る人になりたいな、と漠然と思っていたのですが、音楽を作ろう、とこのとき決めたのでした。*1

それから、エンディング・テーマの、みとせのりこさんが歌う Radical Dreamers も美しかった。
もちろん、作中の色々な曲にも影響を受けました。今思うと、作家になろうとすることをやめるまで、影響から脱していませんでした。

この曲とか……。

note.mu

聖剣伝説 2 OSV / 菊田裕樹

聖剣伝説2 オリジナル・サウンド・ヴァージョン

聖剣伝説2 オリジナル・サウンド・ヴァージョン

聖剣伝説のサントラを聴いたのは CHRONO CROSS よりも後だったと思います。
いや、先だったかも。たしか CHRONO CROSS のサントラが売り切れていたとかで。

とにかく、聖剣伝説 2 を僕はやっていなくて(ドラクエっ子でした)、でも僕よりも先に音楽を作っていたインターネットの知り合いの高橋伸弥さん *2菊田裕樹激押しで、ふむ聴くか、と思って。
クロノクロスとこれで、僕のこの先しばらくが決まったと思います。

民族楽器を使った音楽、あるいは世界各地の伝統音楽、それからミニマルミュージック、プログレッシブロックのエッセンス。
それを手掛かりに、本格的に音楽を聴き始めることになります。

スピッツ / スピッツ

スピッツ

スピッツ

ところがスピッツです。

なんでスピッツだったんだろう……。

何かティンと来たのでしょう。
当時はドラマとか CM とかでもバシバシ使われてたし、J-POP 全体がよく売れてたし。
ゲーム音楽作家を目指すこととの前後はよく覚えていません。TSUTAYAスピッツを借り始めたのが少し先だったような気もします。

結果として、スピッツのアルバムは全部聴いたことがある(半分くらいは持ってる)くらい好きになりました。
中でも当時から大学時代にかけて一番好きだったのがこのファーストアルバムです。なんか根暗で、肌に合ったんですよね。

In the Court of the Crimson King / King Crimson

In the Court of the Crimson King

In the Court of the Crimson King

というわけで、ワンクッションありましたがさてさてプログレッシブ・ロックを聴きはじめることになります。

King Crimson は 1 枚目より 2 枚目の方が完成度が高いという人があったりとか、そもそも長い歴史の中で色々なことをやっているので人によって結構好みが分かれますが、僕はいまだにこのファーストが一番好きです。
まあ、原体験だったということもあるとは思います。

余談ですが、当時(高校を卒業して実家を出るまで)音楽情報のじつに半分くらいはここから仕入れていました。
ゆえにか、やたら古い音楽ばかり聴く人になっていました。

美術の知識もフィギュアスケートの知識もここで得たし、とても感謝しています。

kajipon.sakura.ne.jp

実家がまあ田舎で、たとえばミュージック・マガジンみたいな音楽雑誌があることも知りませんでした。
というかたぶん置いてなかったと思う。中学の頃できた町で一番大きな書店であるところの TSUTAYA に。

Close to the Edge / Yes

Close to the Edge

Close to the Edge

経緯はだいたい King Crimson と同じです。

これもプログレッシブ・ロック入門の定番で Yes で最初に聴いたアルバムなのですが、やっぱり大好きなんですよね。
Siberian Khatru(やさしい変拍子)のおかげで変拍子フェチへの道を歩み始めてしまった気がします。

Rubai / Flook

Rubai

Rubai

これはアイリッシュ・トラッド、の現代的でカッコいいやつです。
光田康典菊田裕樹ラインの主要な要素であるところの、伝統音楽ですね。

この辺になると当然 TSUTAYA ではレンタルも販売もなくて、でもそれなら渋谷のタワーに現物があるかというとたぶんないのでそこはあんまり変わんないですね、Amazon で買ったのだったか、The Music Plant の通販で買ったのだったか。
Amazon は救世主でした。当時。今も田舎の中高生にとっては救世主……かなと思ったけどたぶん別にそんなことないですね、配信サービスも色々あるし。時代は移り変わっていきます。

Live / Lau

Live

Live

Lau はこの中で歴史がかなり新しいのですが、どうしても入れたくて入れました。
スコットランドのスーパーイカした三人組(フィドル、ギター、アコーディオン)なのですが、伝統音楽ラインで僕の中では一つの(いったんは)終着点的な存在になったスゴバンドです。

西欧のトラッドが好きで、でもまだ聴いたことがないという人がもしいたら、ぜひ聴いてみてください。
なお「私を構成する」ことを重視して少し古いアルバムを取り上げましたが、今ならライブ盤なら Live 2011、スタジオ版なら Arc Light か Race The Loser がおすすめかな、と思います。

OK Computer / Radiohead

Ok Computer

Ok Computer

この辺はちょっと迷いました。

実は聴いたのが 2006 年に大学に入ってからで(サークルの同期の多数が好きなアルバムに挙げていた)、それくらい僕は現代のロックを聴いていませんでした。
ほどなく気に入って聴きまくりました。

僕が現代のロックを聴くようになった記念碑的なアルバムということで挙げました。
実際すごくいいアルバムです。

Everything, Everything / Underworld

Everything Everything

Everything Everything

同じく少し迷いましたが、大学時代になんだかんだ一番聴いた(と思う)電子音楽のアルバムということで。

これは、最高です。
日曜の昼間とかに爆音で *3 流して飛び跳ねながら洗濯とかすると、この世の春という感じがします。

でも部屋の中で無闇に飛び跳ねると頭を打ったり天井を突き破ったりするので注意が必要です。

まとめ

「私を構成する 9 枚」なので、自ずとやわらかかった頃、つまり今よりもずっと若かった頃(に/から)聴いていたアルバムが中心になりました。
「構成された私」にクリティカルヒットをかましてきたアルバムであればもっと他にもいろいろといろいろといいのがいっぱいあるのですが、「私を構成する」というのはなかなかニクいテーマでした。

今となってはそうそう聴かないものも多いし、同じバンド/ミュージシャンでも別のアルバムのほうが今は好き、というものもあります。 そう考えると、若いころにどんな音楽を聴くかが、人をどう構成するかを決めるすごく大事なことだ、……という話になりそうですが、実はこれらのアルバムを聞いていた時期は同時に僕が一番音楽を渇望していた時期でもあった、と思います。

これがもし本だったら、まともに読み始めたのはほんの 5 年ほど前のことなので、「私を構成する 9 冊」のうちの半分以上はそれ以降のものになるはずです。(それでも、半分近くがもっと若いころに読んだものになりそう、という予測も驚きではありますが……)

そのうち「私を構成する舞台 9 本」みたいなのもやりたくなるのかな。
まとめると、生きること、生きてまわりのものを取り入れて、影響されて変わっていくことは楽しいです。

*1:フェアに書くと、このときまだきちんと決めてはいなくて、音楽じゃね、音楽なんじゃね? と思って、音楽を作り始めたのでした。決めたのは、高 1 の進路(文理)選択のときだったはず。

*2:当時は高橋さんではなくてハンドルネームでしたが

*3:と、隣の迷惑にならない程度の爆音で……